イエメン前大統領殺害、和平模索に打撃 反政府派が基盤強化か
イエメン・サヌア(CNN) イエメンの前大統領が首都サヌアから脱出する途中で反政府武装組織「フーシ」によって殺害されたことを受け、サウジとイランの代理戦争の様相を呈しているイエメンの内戦は、サレハ氏の死によって、一層激化する可能性もある。
イエメン情勢に詳しいシンクタンク欧州外交評議会のアダム・バロン氏は、「これでフーシがイエメンでの権力基盤を完全に固める態勢ができるかもしれず、和平合意実現の可能性は薄れる」と指摘した。
サウジ内戦を巡って国連などは、交渉を通じた和平合意を模索してきた。フーシと連携してきたサレハ氏がサウジ側と連携すれば、事態打開に向けた突破口が開ける可能性もあった。
しかし、これがきっかけとなってサヌア市内では激しい戦闘が発生。住民によれば、特にこの2日間は市内全域で市街戦や爆発が相次ぎ、病院や学校も閉鎖されていた。
赤十字国際委員会によると、この戦闘による死者は過去5日間で確認されただけでも125人、負傷者は238人に上っている。
サヌア市内の病院は、国境封鎖の影響で物資が底を尽きかけており、赤十字は燃料などの緊急支援物資の供給を試みている。
国連の人道問題調整官は4日の声明で、現地時間の5日午前10時から午後4時までの「人道停戦」を呼びかけた。
フーシの幹部によると、サレハ氏を乗せた車は、フーシが占拠する首都サヌア南部の検問所で銃撃され、同氏と側近数人が死亡した。
サヌアにあるサレハ氏の自宅は2日以上にわたってフーシに包囲され、同氏は身の安全のため、出身地のサンハンへ脱出しようとしていた。