本件についてグテーレス国連事務総長の代理人は、ガバナンスの複雑さを指摘する。グテーレス氏はUNAIDSのトップを任命するが、日々の運営はWHOが監督する。WHOは国連の専門機関だが、独立した運営体となっている。事務総長の副報道官は今年2月に本件について問われ、グテーレス氏の管轄外だとの見解を示した。なお、シディベ氏やローレス氏を任命したのは前任の潘基文氏。
シディベ事務局長は2月の内部ミーティングで、グテーレス事務総長から電話があり、全面的に支援すると話があったと明かしている。
14カ月に及ぶ内部調査の結果は、ローレス氏に非行は認められないとの内容だった。ブロストロムさんの説明は具体的だが、ホテルのエレベーターには監視カメラもなく証拠がないとの判断だった。ただ、予防的な措置として、幹部はローレス氏に特に女性の同僚との関係を念頭にハラスメントの指針を再認知させることとした。
ブロストロムさんは心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受け、昨年4月から断続的に有給の病気休暇を取っている。だが、エイズやHIVへの取り組みは自身にとって天職であり、規則が適切に守られるなら復帰したいと望んでいる。
彼女がグテーレス事務総長に宛てた最近の電子メールでは、自身のことを「最初はルイス・ローレス氏に性的に、その後はミシェル・シディベ氏に仕事上、そしてモラルで」二重の攻撃を受けた被害者と形容している。