安保理が緊急会合、シリアの化学攻撃疑惑で激しい応酬
(CNN) 国連安全保障理事会は9日、シリアの首都ダマスカス近郊ドゥーマの反体制派拠点が化学兵器による攻撃を受けたとされる問題を受けて緊急会合を開いた。会合では米国とロシアが激しい応酬を繰り広げた。
ドゥーマでは7日、化学兵器によるとみられる攻撃で49人が死亡、数十人が負傷したと伝えられた。トランプ米大統領はアサド・シリア政権や同政権を支援するロシアの仕業だと非難し、対抗措置を示唆している。
米国のヘイリー国連大使は会合で、亡くなった幼児らの様子を詳しく語り、「攻撃を仕掛けた怪物には死んだ子どもの写真に衝撃を受ける良心がない」「ロシア政権の手もシリアの子らの血でまみれている。犠牲者の写真に罪の意識を覚えることもない」と批判。「ロシアはアサド政権をためらいもなく支援している」「文明国家なら人殺しのアサド政権とはかかわろうとしないはずだ」と力説した。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は米国に対し、「あなたたちに世界の警官として振る舞う権限を与えた者はいない。法の枠組みに戻りなさい」と反撃した。
ネベンジャ氏はさらに、猛毒サリンや塩素ガスの使用は確認されていないと改めて主張。米国がシリア攻撃の口実を作るために「偽ニュース」を広めていると非難した。シリアのジャアファリ国連大使も同じく、米国がつくりあげている虚構はシリアに対する攻撃の前兆だと述べた。
国連のデミストゥラ・シリア担当特使は、シリアをめぐる対立が激化すれば国際社会全体の安全を脅かす恐れがあるとの懸念を示し、独立機関による徹底調査を求めた。
米国を支持する英国のピアス国連大使も、「我々に隠し事はない」と述べて調査を支持した。