ロンドン(CNN) 10月に殺害されたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が、カナダ在住のサウジ人活動家との間で昨年からやり取りしていたメッセージを、CNNが独占入手した。カショギ氏がサウジの現体制を深く憂慮していた様子がうかがえる。
カナダ・モントリオールを拠点に活動するオマル・アブドルアジズ氏(27)は昨年10月から今年8月にかけ、カショギ氏とほぼ連日、メッセージ交換アプリ「ワッツアップ」で連絡を取り合っていた。
合計400件以上に及ぶメッセージには音声や画像、動画も含まれている。カショギ氏はこの中で、サウジを事実上支配しているムハンマド皇太子を激しい言葉で批判していた。
サウジで今年5月、活動家グループが拘束された直後には、皇太子を「なんの脈絡もなく力と抑圧を愛し、それを誇示せずにはいられない」人物だと非難。「獣と同じで、犠牲者を食えば食うほどさらに欲しがる『パックマン』のようだ」と書いていた。
カショギ氏とアブドルアジズ氏は、サウジの若者に呼び掛けて反体制運動を起こす作戦を立てていた。アブドルアジズ氏によると、サウジ政府は同氏の携帯電話をハッキングし、2人のやり取りを把握していた可能性がある。
アブドルアジズ氏はCNNに、「電話のハッキングが大きな原因となって、カショギ氏があんなことになってしまった」「申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話した。
ハッキングには、イスラエル企業が開発した軍用級のスパイウエアが使われたという。アブドルアジズ氏の弁護士は2日、この企業を相手取り、サウジ当局が人権抑圧に使う可能性を承知でソフトを販売したのは国際法違反だとする訴えを起こした。