中国、カナダ人男性に死刑判決 ファーウェイ問題で関係悪化
北京(CNN) 中国で麻薬密輸にかかわったとして有罪判決を受けたカナダ人男性が14日、中国北東部・大連市の中級人民法院で死刑を言い渡された。両国の間では、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の経営幹部が12月にカナダで逮捕されて以来、関係が悪化しており、今回の判決を受けて対立が深まるのは必至だ。
死刑判決を受けたのはカナダ人のロバート・シェレンバーグ被告。判決によると、同被告は2014年11月に麻薬密輸組織によって大連に派遣され、222キログラム以上のメタンフェタミンを中国からオーストラリアへ密輸する手配をしたとされる。
麻薬はタイヤなどに隠してコンテナに積み、シェレンバーグ被告は積み荷を点検して輸送の日程を決めていたとされる。しかし共謀者とされる人物が警察に出頭したことを受けてシェレンバーグ被告は大連から逃走し、14年12月1日に中国南部からタイへ出国しようとしたところを逮捕された。
AFP通信の報道によると、シェレンバーグ被告は14日の判決言い渡しを前に、「私は麻薬密輸業者ではない。私は観光客として中国に来た」と訴えた。
裁判所によると、シェレンバーグ被告は判決に不服があれば10日以内に控訴できる。裁判では弁護を受ける権利や通訳を付ける権利が保障され、カナダ大使館の職員が付き添っているという。
カナダのトルドー首相は14日の判決を受けて記者会見を開き、「カナダ人が罪に問われた事件で、中国が恣意的に死刑を適用し始めたことを、我々は政府として強く懸念する。国際社会の友好国や同盟国にとっても懸念すべき事態だ」と指摘した。
シェレンバーグ被告は当初、2016年に裁判にかけられ、麻薬密輸にかかわった罪で18年11月に有罪判決を受け、禁錮15年を言い渡されたことを不服として控訴した。