シリア西部(CNN) 米軍の支援を受けて過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦ってきたクルド人主体の部隊「シリア民主軍(SDF)」がシリアで最後に残ったISIS支配地の奪還作戦を進めている。CNNがSDFの兵士に同行し、前線の様子を取材した。
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午前7時ごろ、聞き間違えることのない機関銃の銃声が鳴り響いた。有志連合が空爆や発砲を行うなか、戦闘にまつわる騒音で目が覚めることは珍しいことではない。
今月9日の日没から、有志連合はISIS支配地域に空爆を行っている。取材班は、ISISの最後の支配地であるシリア東部の町バグズ・ファウカニから約1キロの地点にいた。
取材班はより良い視界を得ようと屋根の上へと向かった。米国や英国、フランスの軍隊が街へ向けて撃ち込んだ空爆や砲撃によるものとみられる遠くの爆発以外、見えるものはほとんどなかった。取材班が見守っていると、我々の方向へ向かってくる射撃の音が聞こえてきた。
ISISは早朝の霧を利用して反撃を仕掛けてきた。壁の後ろに身をかがめたが、頭上を銃弾が飛んでいく。今朝までは有志連合による空爆があらゆる襲撃を抑圧していたが、今や銃撃は激しくなりつつあるようだった。
襲撃を受けて、周囲にいる兵士たちの緊張が高まる。兵士の1人が無線機を使って襲撃の情報を集めていた。大きな爆発が近くで起こり、灰色の煙が横の建物から流れ込んできた。
取材班は選択肢を検討し、後退することを決めた。約5キロ離れたより安全な地域にある別の建物へと後退した。兵士らと食事をとったが、簡単に戦闘が集結するというこれまでの自信が揺らいでいるのは明らかだった。
11日の午前まで、作戦は予定通りに進んでいるようにみえた。戦闘開始から最初の24時間はISISからの抵抗がほとんどなく、取材班と一緒にいる兵士も活気づいていた。司令官は11日か12日までには街を取り戻せるかもしれないとの見通しを示していた。
しかし、今朝の出来事が示したのは、ISISは簡単に降伏したり、戦闘員をたやすく撃退することはできないという厳しい現実だった。