英議会、「合意なき離脱」阻止の法案審議へ 首相に打撃
(CNN) 欧州連合(EU)からの離脱をめぐって紛糾する英議会で3日、「合意なき離脱」に反対する超党派の議員グループが議事進行の主導権を握るために出した動議が承認された。これを受けて議会では4日、合意なき離脱を阻止する法案が採決にかけられる見通しだ。
英議会は3日、夏休みを終えて審議を再開。動議は328対301で承認された。
ジョンソン首相はかねて、EU側との間で離脱条件をめぐる合意が成立しなくても10月末に離脱すると主張してきた。3日の採決直後には、阻止法案を通せば離脱を無意味に遅らせることになると反発し、その場合は早期総選挙に踏み切るとの意向を示した。
3日の採決では最大野党・労働党の議員らに加え、与党・保守党の議員21人も動議に賛成票を投じた。この中にはハモンド前財務相ら重鎮も含まれていたが、保守党は造反議員を全員除名する異例の措置を取った。
4日に審議される法案は、EUとの新たな合意が10月半ばまでに成立しなかった場合、ジョンソン氏がEUに来年1月までの離脱延期を要請するよう義務付ける内容。
ジョンソン氏は議場で、合意なき離脱の可能性を残しておけばEUとの交渉を有利に進められる一方、延期を要請すればEUに主導権を渡すことになると訴えた。
同氏はさらに、離脱条件の争点とされてきたアイルランド国境管理に関する「バックストップ条項」の撤廃に向け、EUとの交渉が進展していると強調。阻止法案が成立すればこの成果も打ち消されると主張した。
これに対して労働党のコービン党首は、「EU側によると英政府は代替案を何一つ提示できていない」と指摘。ジョンソン政権は合意なき離脱に向かって突き進むばかりだと批判した。