イラン司令官殺害、トランプ氏「戦争始めるためではない」
イラク・バグダッド(CNN) トランプ米大統領は3日、イラン革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の殺害について、「我々は昨夜、戦争を止めるための行動を取った。戦争を始めるための行動ではない」と述べ、侵攻ではなく抑止を目的とする判断だったと強調した。
ソレイマニ司令官は米国時間の2日、イラクの首都バグダッドの空港で米国のドローン(無人機)によって殺害された。
トランプ氏はフロリダ州の別荘で声明を読み上げ、ソレイマニ司令官が米国人に対する「差し迫った邪悪な攻撃」を企てていたと言及。精密攻撃による殺害を指示したことを明らかにした。
バグダッド国際空港で米国のドローン攻撃を受けた車両/Obtained by CNN
その後、同州マイアミの教会で行われたトランプ氏支持者によるキリスト教福音派の集会でも、「彼は非常に大規模な攻撃を計画していた。我々は彼を仕留めた」と述べた。
ソレイマニ司令官の殺害により、イランと米国や中東の同盟国との緊張は大きく高まっており、地域が一段と不安定化する恐れが出ている。イランやその同盟勢力は今回の攻撃を「暗殺」と非難。欧州連合(EU)の当局者や国連からも懸念の声が上がっている。
国防総省は2日、ソレイマニ司令官の殺害を確認。イランが支援するシーア派準軍事部隊「人民動員隊(PMF)」によると、同部隊のムハンディス副司令官も殺害された。
殺害されたコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官(右)とPMFのアブ・マフディ・ムハンディス副司令官/AFP via Getty Images
トランプ政権はソレイマニ司令官を冷酷な殺人者とみなしており、トランプ氏は3日、記者団に対し、以前の大統領によって排除されるべきだったとの見方を示した。
米国防総省は同司令官が米軍や有志連合の要員数百人の殺害、数千人以上の負傷に関与したと述べている。イラクではこのところ有志連合の基地への襲撃が相次いでいたが、国防総省はこれについてもソレイマニ司令官が画策したとしている。最近では先月27日の攻撃で米国やイラクの要員が死亡している。
米国の空爆に抗議するイラン首都テヘランの市民/Vahid Salemi/AP
一方、ソレイマニ司令官が英雄として尊敬を集めていたイランでは、3日間の服喪が宣言された。
イランの最高指導者ハメネイ師は「厳しい報復」を予告。「彼は最も堕落した人間の手にかかり純粋な血を流した」と述べた。
ソレイマニ司令官の家族のもとを訪れるイランの最高指導者ハメネイ師/Press TV