フィリピン、米軍地位協定を破棄 米国防長官が遺憾表明
(CNN) エスパー米国防長官は13日までに、フィリピン政府から「訪問米軍に関する地位協定」を破棄するとの通知を受けたとし、遺憾の意を表明した。
CNNフィリピンによると、協定は1988年の締結で、米軍用機や艦船の比国内への自由な寄港を承認。米軍人には入国査証や旅券の対応などの規制が緩くなっている。
最近訪比したばかりだった長官はベルギー・ブリュッセルへ向かう機中で、廃棄の通知は届いたばかりだとし、米国の対応を決める前に米軍司令官の意見を聞く必要があると記者団に述べた。
エスパー長官はこれまでインド太平洋地域における中国の存在感の拡大への懸念を再三表明。ただ、比政府による今回の協定破棄の宣言を中国側の勝利とは必ずしも受けとめず、他の問題が絡んでいるとの判断を示した。
米比が結ぶ軍事協定は、訪問米軍に関する地位協定の他にもある。ただ、同協定がなくなれば、南シナ海への中国の進出が加速などする中、米比間の長年の軍事同盟関係の正式な格下げを意味するとの見方もある。
フィリピン大統領府の報道官によると、訪問米軍に関する地位協定は米国が廃棄の通知を受けた180日後に失効する。
フィリピンのドゥテルテ大統領は2016年の就任後、中国との経済協力関係を強化する政策に転換。18年4月の訪中前には「現時点では私は他の誰より中国を必要としている」とも言い切っていた。
主権論争が続く南シナ海問題ではフィリピンと中国の主張が対立している。ただ、ドゥテルテ大統領は原則問題というより交渉の余地がある問題との認識を示してもいた。