中国空母、太平洋へ出動 兵士の感染ゼロを誇示か
香港(CNN) 中国の国営メディアは16日までに、同国海軍の空母「遼寧」とその随伴艦船が太平洋海域に出動したと報じた。
国営紙「環球時報」によると、誘導ミサイル駆逐艦2隻、誘導ミサイル搭載のフリゲート艦2隻に補給支援艦1隻が付き添っている。中国人民解放軍の公式サイトもこの派遣を確認した。
遼寧らの出動は、中国海軍が兵士の新型コロナウイルス感染を封じ込めている証拠と見せ付ける狙いとの見方もある。中国共産党の中央軍事委員会の後方支援部局で健康問題担当幹部の少将は先月の会見で、中国軍兵士の間に感染者は皆無と主張してもいた。
環球時報は遼寧らの今回の展開を受け、外国の多くの空母は新型コロナの被害で出動態勢にないとし、感染者が出ている米国とフランスの空母を皮肉りもした。中国軍部隊は常に力強い戦闘即応態勢を維持しており、駐留場所にかかわらずいかなる時でも派遣が可能とも誇示した。
ただ、中国軍が新型肺炎の影響を受けていないとの主張を疑問視する指摘もある。米海軍の元大佐でハワイ太平洋大学の講師は中国軍艦船が自国の沿岸部近くで活動し洋上の時間が限られるのなら新型コロナによる影響は隠せると説明。
20日間以下の短期派遣なら疾病による作戦遂行への影響を排除出来ると分析。母港へ戻れば疾病拡大の証拠が公にさらされることを防げるとも説いた。
湖北省武漢市が最初の中心地になった新型コロナの感染で中国は数千人規模の軍人を同市に送り込み、拡散を阻止する前線で医療支援に当たらせてもいた。