希少哺乳類センザンコウ、漢方薬への使用認めず 中国政府が規制改訂
(CNN) 中国政府はこのほど、漢方薬の原料としての使用を許可する品目の一覧から、絶滅危惧種の哺乳類「センザンコウ」のうろこを削除した。センザンコウの保護に向けた「重大な1歩」と位置付けている。
センザンコウはうろこに覆われた昆虫を餌とする哺乳類で、大きさはイエネコほど。哺乳類の中では取引量が世界一多く、アジアで食用や漢方薬の材料として高値で取引されている。当局は昨年だけで130トンあまりの関連製品を押収していた。保護団体によると、これはセンザンコウ40万匹分に相当する。
センザンコウはアジアとアフリカに8種が生息しており、そのうち中国やフィリピンなどに生息する3種は国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定され、残る5種も絶滅が危惧されている。
センザンコウのうろこの成分は、人の爪やサイの角と同じケラチンだが、漢方薬では血行を改善させたり炎症を鎮めたりする作用があると宣伝されてきた。
密輸品としてシンガポールで押収されたセンザンコウのうろこ/HANDOUT/AFP/AFP/Getty Images
中国国営メディアの9日の報道によると、中国政府は漢方薬や西洋医学の医薬品の原料として使用を認める品目の一覧を改訂し、最新の2020年版ではセンザンコウのうろこが許容される品目から外された。「野生資源の枯渇」を理由としている。
この数日前には中国の国家林業・草原局が、センザンコウの保護レベルを、パンダやトラと並んで最も高い「第1級」に引き上げると発表していた。
センザンコウの取引は壊滅的な影響を及ぼしている。IUCNによれば、中国に生息するセンザンコウの個体数は1960年以来、90%以上減少していた。
アジアでの捕獲量が限界に達すると、アフリカに生息するセンザンコウの取引が激増して絶滅の恐れが強まり、中国が2018年に輸入を禁止した後も違法取引が続いていた。