パリのICUひっ迫、患者選別のトリアージ強いられる事態も 医師が警告
ロンドン(CNN) フランス・パリの公立病院に勤務する医師41人が28日、地元紙に寄稿を寄せ、新型コロナウイルス患者の急増が危惧される中で、2週間以内に患者を選別するトリアージを強いられる事態に陥りかねないとの危機感を示した。
フランス紙ジュルナル・デュ・ディマンシュに寄稿したのはパリの病院で集中治療(ICU)や救急医療に携わる医師41人。ニーズと人材などの資源のミスマッチが加速する中、あと2週間で能力が限界を超えるとの見通しを示し、「我々はいずれ、できるだけ多くの命を救うために、ICUを利用できる患者と利用できない患者の選別を強いられる。このトリアージは新型コロナウイルス感染症であってもなくても全ての患者が対象となる」と予想した。
フランス保健当局の統計によると、27日夜現在、パリを中心とするイル・ド・フランス地域だけでも1429人がICUに入院している。同地域の保健当局は先週、感染者の増加に対応するためICUの病床数を2250床に増やす予定だとツイッターに投稿していた。
医師の寄稿では、「近年最悪のテロの時でさえも、このような状況は経験したことがなかった」と指摘している。パリで2015年11月に起きた連続テロでは130人が死亡、494人が負傷していた。
感染の第3波を食い止めるために政府が実施している対策については、「全ての指標が示す通り、憂慮すべき感染の拡大傾向を覆すためには現在の対策では不十分」との見方を示した。
パンデミックが始まって以来、フランスで報告された新型コロナウイルスの症例は450万例を超え、米国、ブラジル、インドに次いで世界で4番目に多い。これまでに9万4492人が死亡した。