ANALYSIS

プーチン氏と習氏がさらに接近 西側との関係悪化受け

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北京冬季五輪の開会式に合わせ、プーチン氏(右)と習近平氏が会談する/Getty Images

北京冬季五輪の開会式に合わせ、プーチン氏(右)と習近平氏が会談する/Getty Images

香港(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は4日、北京冬季五輪の開会式に合わせて世界中から訪れるリーダーたちを出迎える。これらの首脳と直接顔を合わせるのは実に400日以上ぶり。そんな習氏の来賓リストのトップには、ロシアのプーチン大統領の名前がある。

開会式と同日開催とみられる両氏の首脳会談は、双方にとって極めて重要なタイミングで行われる。ロシアはウクライナとの国境地域に兵力を集結させ、すぐにも侵攻しかねないとの懸念が高まる。実現すれば、中国での五輪に暗い影を投げかけるのは必至だ。

直接顔を合わせての会談は、関係の緊密化に拍車のかかる中ロ両政府にとっての新たな節目にもなるだろう。両国とも、現在の西側諸国との関係は悪化している。

五輪に出席する世界の首脳は、プーチン氏をはじめとした一握りに限られる。米国、英国、オーストラリアなどの西側諸国は、政府の公式代表団を派遣しない「外交ボイコット」を実施すると宣言。中国による人権侵害を理由とした措置だとしている。そのほか、中国政府が行う厳格な新型コロナ規制に言及して招待を辞退した首脳らもいる。

西側の多くの人にとっての疑問は、今回の五輪で前回の北京夏季五輪の期間中に起きた事態が繰り返されるのかどうかということだ。当時ロシアは、旧ソ連の構成国だったジョージアへの侵攻に踏み切った。ウクライナ国境での緊張が引き続き高まる現状で、全ての人の視線はプーチン氏に注がれるだろう。

「ロシアの西側との対立において、非常に劇的な瞬間となる。ある意味では、中国の西側との対立においても同様だ」。そう語るのはカーネギー・モスクワ・センターでアジア太平洋地域におけるロシアについて分析するプログラムを統括するアレクサンデル・ガブエフ氏だ。

新たな同盟?

ここへ来て中ロ両政府の関係は通商、テクノロジー、共同軍事演習などを通じて緊密化。相互の連携により西側中心の世界秩序にどれだけ対抗できるかといった言説も、一段と声高に叫ぶようになっている。

昨年12月のプーチン氏とのビデオ会談で、習氏は中ロ両国が「国際情勢における連携、協力を強化」し、「覇権主義的行動及び冷戦期的思考」を拒絶することを呼び掛けていた。

専門家らによると、中国政府はウクライナ情勢について曖昧(あいまい)な姿勢を維持し、ロシアの行動に対し和平を呼び掛ける公算が大きいものの、すでに同国が北大西洋条約機構(NATO)に発するメッセージへの支持を表明した。ロシアはNATOに対して、これ以上の東方拡大を行わないとする安全保障上の確約を求めている。

中国の王毅(ワンイー)外相は先週、米国のブリンケン国務長官と電話会談を行い、「ロシアによる正当な安全保障上の懸念」が真剣に取り上げられることを求めた。

また先月31日には、国連安全保障理事会で米国がロシアによるウクライナ国境付近での軍事活動拡大について話し合う協議を呼び掛けたが、中国はロシアと並んでこれに反対した。

実際のところ中国はロシアとNATOの対立への介入にあまり関心がないと分析する専門家もいるが、欧州における不和が中ロ関係の強化に寄与することには疑いの余地がない。ロシアが西側による過酷な制裁にさらされるならなおさらだ。その場合、ロシアは経済的な対中依存を一段と強めることになる。このほか中国政府が享受し得る恩恵として、米国の政策の焦点が中国との競争から外れる点を挙げる専門家もいる。

プーチン氏と習氏の友情

五輪に先駆けて行われる4日の会談では、中ロの力学における別の側面もまた明らかになるかもしれない。それは両首脳の個人的な信頼関係だ。

昨年12月のビデオ会談で、習氏はプーチン氏を自分にとっての「昔からの友人」と呼び、五輪で同席できるのを「非常に楽しみにしている」と告げていた。

「あらゆる構造的な問題により中ロ両国は複雑かつ困難な戦略的パートナーとなっていることから、習近平とウラジミール・プーチンは過去の両国の指導者と比較してお互いはるかに協力的だ」。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院の中国研究院を統括するスティーブ・ツァン氏はそう指摘する。

同氏によれば、両首脳はともに強力なリーダーという点で馬が合うところがあり、互いにこれまで取ってきた行動の価値を認め合ってもいるという。

ロシア国営メディアは先月、プーチン氏が米国およびNATOとの協議の内容について習氏に説明する予定だと報じた。両氏はこのほかにも広範な分野での連携強化に焦点を当てた話し合いを行うとみられる。

会談の中で、ロシアの西側との対立やウクライナ情勢の今後をめぐる込み入った疑問が議題に上るのは間違いない。それでもカーネギー・モスクワ・センターのガブエフ氏は、両国の信頼を念頭に置き、ロシアが中国に気を遣うのではないかとみる。

同氏は、中国が五輪開催に神経をとがらせる現状はロシアにとって懸念材料ではないかと推測。ロシアの望みはプーチン氏と習氏の会談に十分な注目が集まることだとしたうえで、それによって「いざ制裁が発動された場合でもロシアは一人ではなく、もう一つの世界的超大国と協力関係にある」という強いメッセージを打ち出すことができると分析した。

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