民家を襲った「フレシェット弾」、ロシア軍撤退後の町で無数発見 ウクライナ
ウクライナ・イルピン(CNN) ウクライナ軍が首都キーウ(キエフ)郊外のイルピンをロシア軍から奪還して以来、1カ月あまり。住民のボロディミル・クリマシェフスキさん(57)の自宅では今も、庭に散乱したり家の壁に食い込んだりした釘のような金属片が見つかるという。
「素手では抜き取れない。ペンチがいる」。壁にダーツの矢のように突き刺さった無数の金属片を指さしてクリマシェフスキさんが言った。
この鋭利な金属片は、フランス語で「小さな矢」を意味するフレシェット弾と呼ばれる。第1次世界大戦中、できるだけ多数の敵兵を攻撃するために連合国軍が開発した兵器で、薬莢(やっきょう)に込められて戦車から発射されると、数千本の金属片が広範に飛び散る。
イルピンの民家の外壁に突き刺さった無数の金属片/David von Blohn/CNN
フレシェット弾は無差別的な性質をもつことから、民間人のいる場所で使うことは人道法で禁じられている。人に当たれば身体を引き裂き、ゆがんだり曲がったりして命取りになることもある。
米国務省によると、フレシェット弾は米国がベトナム戦争で使用。このほか、2010年にはイスラエル軍がパレスチナ自治区のガザ地区で民間人に対して使用し、国連人道問題調整事務所(OCHA)がこれを非難した。しかし、それらを除けば現代の戦争で使われたことはほとんどない。
だが3月にロシア軍が占拠していたキーウ北部の町や村から撤退した後、ロシア軍が攻撃にフレシェット弾を使用していた痕跡が浮上した。