ロシアに情報売るスパイを逮捕、おとり捜査に同行 ウクライナ東部
現地のSBUは、日に1~2度、このような形のおとり捜査を行っていると説明する。今回逮捕した男は、捜査対象となってからわずか4日しか経過していなかったという。
容疑者の中には典型的な潜入者もいる。彼らはロシア系の市民として開戦時にドンバス地方へ送り込まれ、地元住民の間で暮らしている。政治的な同調者もいるが、今回の逮捕を主導した人物に言わせれば、ほとんどの人間は金のためにスパイ活動を行っている。
「思想的な裏切り者は数が減る一方だ。ロシア連邦による2014年のドンバス侵攻を支持し、いわゆる『ドネツク人民共和国』と『ルガンスク人民共和国』の創設時期にも支持を表明した者たちでさえ、マリウポリやハルキウ、キーウ(キエフ)、ブチャをはじめとする数十、数百の土地で起きたことを見て、ロシアについての世界観を変え始めた」と、上記の人物は語った。
先週末に逮捕された容疑者は捜査員に対し、わずか500フリブナ(約2200円)と引き換えに標的に関する情報を渡したと明かす。メッセージアプリの「テレグラム」を通じ、「ニコライ」と名乗る人物の募集に応じたという。
捜査員が両者のやり取りの内容を読み上げる。SBUの要員らは銃をホルスターから抜いて立っている。
「昨日はよくやってくれた」と、ニコライの投稿。「同じ情報が今日もほしい。野営地での軍の写真や動画、地理データだ。どのくらいで手に入る?」
「了解。了解」と、容疑者が返す。「返信する。1時間半から2時間だ」
「オーケー、待っている」とニコライ。「気をつけろ。カメラに注意して、見られないように。写真や動画は隠れて撮影しろ」