エリザベス2世死去、戦争と家族の混乱乗り切った英国の女王
ロンドン(CNN) 英国の女王エリザベス2世が96歳で死去した。同国史上最長となる在位期間を過ごした女王の死には、世界中から弔意が寄せられるだろう。欧州における王権の伝統が残る時代に生まれた、最後の君主の一人でもある。当時の王や女王は、真の意味での政治権力を振るっていた。
死去する7カ月前には即位後70周年の節目を迎え、素晴らしい生涯にまた一つ重要な出来事を書き加えた。若い時分にはスポットライトの中に飛び込むのを好まなかったが、公務に対する揺るぎない献身によって世界中からと言っていいほどの称賛を獲得した。
その長い治世の間に、英国は変わった。戦争に疲弊して衰えゆく帝国から、現代的な多文化国家へと変貌(へんぼう)を遂げた。君主がリーダーシップを求められる場面はほとんど見られなかったが、女王は変わらぬ尊敬を集めた。
孫のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚やそれに続く3人のひ孫の誕生など、喜ばしい出来事に恵まれた一方で、女王の治世は多くの嵐も潜り抜けてきた。公私両面で、王室は時代の変化についていこうとしていた。
エリザベス女王はエリザベス・アレクサンドラ・メアリーの名で1926年、ヨーク公夫妻の第1子として生まれた。
しかし王位の推定相続人になるのは37年、父のヨーク公がジョージ6世として戴冠(たいかん)してからだ。ジョージ6世は兄のエドワード8世がスキャンダルの中で退位したのを受けて即位した。この出来事はアカデミー賞受賞作の映画「英国王のスピーチ」やネットフリックスのドラマ「ザ・クラウン」で描かれている。