民間軍事会社ワグネル、ロシア国防省の主張に真っ向反論 ソレダル攻撃への軍関与巡り
(CNN) ロシアの民間軍事会社「ワグネル」は12日、SNSのテレグラムに、ロシアの正規軍がウクライナ東部ソレダルの攻撃に参加しているとの国防省の主張を真っ向から否定する動画を投稿した。
同社の創設者エフゲニー・プリコジン氏は先ごろ、ソレダルの攻撃はワグネルだけが担っていると主張していた。今回の動画はその主張を強化するものとなる。
動画には掩蔽壕(えんぺいごう)にいると見られる戦闘服姿の男性2人が空挺(くうてい)部隊の将校だと名乗り、「空挺部隊はソレダルの攻撃に参加していないと明言する。攻撃はPMCワグネルの部隊だけで実行された。我々はその方角に派遣さえされていない」と述べた。
男性2人の顔は明瞭に映っておらず、CNNはその身元や証言の信ぴょう性を確認できない。
ただ、ワグネルがこの投稿をしたという事実自体が重要性を持つ。ロシアのどの部隊がウクライナ東部の攻撃を担っているのかという点が、同国の権力構造の駆け引きの中で重要な争点になっている。
国防省は11日、ロシアの正規軍がソレダル市内および周辺で作戦を実施中と述べたが、ワグネルには言及しなかった。一方、プリゴジン氏は9日、ワグネルのテレグラムチャンネルに載せた声明で、ワグネル以外の部隊がソレダル攻撃に参加したという主張は全て「偽情報」に当たると言明した。
同氏は昨年末にソレダルに近いバフムートの近郊にいるワグネルの部隊を訪れた際、ロシア政府の官僚を直接批判。「我が国内部の官僚制と腐敗を打破した後は、ウクライナ人とNATO(北大西洋条約機構)、その後は全世界を征服する」と兵士に訓示する動画がテレグラムに投稿されていた。
親ロシア派の軍事ブロガーは、ワグネルの成功がウクライナ侵攻の総司令官交代につながった理由の一つではないかと推測する。
ウクライナ軍は12日、ソレダルの支配権は依然争われていて、同軍が「反攻を行っている」と述べた。
12日にテレグラムに投稿され、CNNが位置を確認した動画には、ロシアが支配する地域寄りにあるソレダル北端にワグネルの兵士がいる様子が映っている。
ワグネルの兵士はこの動画の中で「ソレダルの状況はまだ容易ではない。砲撃があるため敵はまだ姿を見せていないが、我々が敵を大量に倒していることは明白だ」と語った。