「まるで射撃場の七面鳥」、ドネツク州の激戦地で大損害被るロシア軍 今後の攻勢に向け暗雲も
「真正面から突っ込むのは愚か者だけ」
しかしウクライナ東部の親ロシア派「ドネツク人民共和国(DPR)」の首長を自称するデニス・プシリン氏は10日、当該地域を「激戦地」と認め、敵が予備軍を大量に送り込んでくるため「現地の解放に時間がかかっている」と明かしていた。
ブフレダールは近くの炭鉱のために建設された町で、周囲の平地より高い地点に存在する。高層階を有する複数の建物は、強固な地下施設と並んでウクライナ軍の守備隊に相当の優位性を与えている。
ブフレダールの戦闘を検証してきた軍事史家のトム・クーパー氏はこの町を、「何もない平らな砂漠の真ん中に立つ、巨大で高くそびえる要塞(ようさい)」と形容する。
ロシア軍は3カ月にわたりブフレダールの奪取を試みている。これが成功すれば、ウクライナ軍は近くの鉄道を遮断するのが難しくなる。この鉄道はドネツク州とロシアの占領下のクリミア半島とをつないでいる。
クーパー氏によれば、ロシア軍はブフレダール周辺に兵士約2万人、主力戦車90両、大砲約100門などを投入しているという。
しかし、1月の最終週に始まった攻撃は致命的な失敗に見舞われていると同氏は指摘。相当狭いルートを進むロシア軍の部隊は、ブフレダールの高い建物に陣取るウクライナ軍の視界に常に入る。同軍の砲撃は前進するロシア軍部隊に大損害をもたらすだけでなく、後方からの戦力の供給や退却ルートに対しても打撃を与えているという。
ロシアの有力な軍事ブロガーの多くも、ブフレダールへの自国の攻撃を厳しく批判している。DPRで国防相を務めたイーゴリ・ストレルコフ氏は兵士らが「射撃場の七面鳥のように撃たれている」と非難。テレグラムへの投稿で、多くの優れた戦車や精鋭ぞろいの落下傘兵、海軍歩兵隊員が失われていると述べた。
別の投稿では「同じ場所に真正面から突っ込むのは愚か者だけ。町は重度に要塞化され、攻撃側には極めて都合が悪い。何カ月もそうした状況が続いている」と、指摘した。
ロシアの軍事ブロガーらには、テレグラムのチャンネルの登録者が数万人から数十万人いるとされる。