ロシア、ウクライナで欧米製兵器を入手しイランへ輸送
(CNN) ロシアがウクライナの戦場に取り残された欧米供与の兵器の一部を回収し、イランへ送っていることが11日までにわかった。この問題に通じる4人の関係筋がCNNに明らかにした。
これら兵器を受け取ったイランは分解して構造や仕様、動作などを分析し、似通っている独自の兵器を製造しているともみている。
ただ、イランがこれら作業で成果を得ているのかどうかは不明。ただ、過去の事例を見た場合、同国は米国の装備品を下敷きにした兵器開発に高い技量を見せつけてきたという。
米国や北大西洋条約機構(NATO)などの当局者は過去1年、ロシア軍が小型で歩兵が携行可能な装備品を入手した複数の事例を把握。対戦車ミサイル「ジャベリン」や対空ミサイル「スティンガー」などが含まれる。
関係筋によると、ウクライナ軍は時にはこれら兵器を戦場に置いたまま移動を強いられる場合もあるという。
ロシアが欧米製兵器をイランへ送る背景には、ウクライナ侵攻への支持の維持を図る報奨の意味合いもあるとみている。
米政府当局者はイランへのこれら兵器の送り込みが広範かつ組織的に実行されているとは判断していない。ウクライナ軍は侵攻が始まって以降、ロシア軍の手に落ちた米国供与の兵器を米国防総省へ常に報告しているともした。
イランの主要兵器では、対戦車誘導ミサイル「トーファン」が1970年代に米国製の対戦車ミサイル「BGM-71 TOW」の技術を模倣して開発されていた。2011年には米ロッキード・マーチン社製のドローン(無人機)「センチネル」を捕獲し、これをまねた新たなドローンを製造。この無人機は18年にイスラエル空域に侵入し、撃墜されてもいた。
ロシアはウクライナ侵攻後、海外からの軍事支援の取りつけに躍起となっており、欧米製兵器の引き渡しはイランとの防衛協力関係の強化を象徴する新たな事例となっている。イランが供与したドローンなどはウクライナ攻撃に大量に投入されているが、ロシアへの傾斜の深まりは中東諸国に脅威を与えかねないとの見方も出ている。