リビアで消失の天然ウランを回収か、現地武装組織が主張
(CNN) 北アフリカのリビアで活動する武装組織は18日までに、行方の分からなくなっていた天然ウラン入りの複数の容器を同国南部で発見したと主張した。
「リビア国民軍(LNA)」を名乗るこの武装組織の報道官、ハレド・マフジューブ氏が、フェイスブックへの投稿で明らかにした。それによると、これらの容器は当初保管されていた倉庫から5キロ離れた地点で見つかったという。
マフジューブ氏が投稿した動画には、防護服を着た人物1人が青い容器18個を声に出して数える様子が映っている。これらの中身は、消失した天然ウランだとしている。
国際原子力機関(IAEA)は15日、リビアで保管されていた天然ウランの行方が分からなくなったと報告。IAEAの報道担当者はCNNに対し、前日に実施した査察の作業中、「ドラム缶10本に入った天然ウランの約2.5トンがなくなっているのが判明した」と述べていた。
IAEAは16日、ウランが見つかったとするメディア報道について認識しており、事実かどうかの確認作業を進めていると発表した。
CNNはIAEAに連絡を取り、LNAの見つけた容器が消失したと伝えられるものと同じなのかどうか確認を試みている。
LNAのマフジューブ氏によれば、当該の容器が保管されていたリビア南部の倉庫には警備が配置されていたが、放射線への懸念から警備担当者らの待機場所は倉庫からかなり離れていたという。
また保管用倉庫の側面は切開され、容器と同じ大きさの穴が開けられていたと同氏は付け加えた。
さらに隣国チャドの組織が容器の窃盗に関与したとも主張。武器だと思い盗み出したものの、中身が判然としなくなり放棄したとの考えを明らかにした。その主張を裏付ける証拠は提示しなかった。
LNAは倉庫の警備について、IAEAのチームが2020年に倉庫を視察し、ウラン入りの容器に印をつけた後に任務として行われていると述べた。
IAEAは消失したウランから放射線障害が生じることはほぼないとしつつも、安全な取り扱いが求められると説明。核の安全保障をめぐる懸念をもたらす可能性があるとも指摘していた。
政情不安の続くリビアは14年、東西に拠点を置く武装組織同士の派閥により国が二分される状態に陥った。