トルコ大統領選、候補の一人が撤退 エルドアン氏の対抗馬に追い風か
イスタンブール(CNN) 14日投票のトルコ大統領選に出馬していたムハッレム・インジェ氏(59)が選挙戦からの撤退を表明した。現職エルドアン大統領の打倒をめざす主要野党候補、ケマル・クルチダルオール氏への追い風となる可能性がある。
インジェ氏は世論調査で支持率が低迷しており、一部の野党関係者からは反エルドアン票の分散につながるとの懸念の声が出ていた。
インジェ氏は首都アンカラでの記者会見で、「選挙戦から撤退する。我が国のための行動だ」と説明。主要野党勢力を念頭に「負けた時に私を非難してほしくない」とも述べた。
インジェ氏の中道政党「故国党」は引き続き議会選に参加する方針で、同氏は自党への支持を訴えた。他の大統領候補への支持は表明しなかった。投票用紙には同氏の名前が残る。
インジェ氏は「中傷キャンペーン」を受けて撤退を決めたと説明。同氏に対してはトルコのSNS上で扇情的な主張が展開されており、アンカラ検察は11日、脅迫の可能性があるとみて捜査を開始したことを明らかにした。
インジェ氏は2018年の大統領選でも立候補したが、エルドアン氏に敗れた。
今年3月にはクルチダルオール氏率いる共和人民党(CHP)とたもとを分かち、大統領選に出馬。CHPはエルドアン氏の対抗馬への票を奪うとの懸念から撤退を要請していたが、インジェ氏は当初拒んでいた。
トルコ大統領選は5年ごとに実施される。第1回投票で過半数を獲得した候補がいない場合、上位2人による決選投票が行われる。