乳幼児4人の死めぐり20年服役、母親を放免 豪史上最悪の冤罪か
ブリスベン(CNN) オーストラリア南東部ニューサウスウェールズ州で5日、乳幼児4人の死をめぐる殺人罪などで20年前から服役していた母親が、有罪評決への「合理的な疑い」を理由に放免された。同国史上最悪の冤罪(えんざい)事件とみられる。
同州のデイリー司法長官は同日の記者会見で、新たな調査の暫定結果に基づいて知事に無条件の放免を提言し、認められたと述べた。
キャスリーン・フォルビッグさんが1989年から10年間に出産した子ども4人は、全員2歳になる前に死亡した。いずれもフォルビッグさんが第一発見者だった。
子どもたちの遺体に殺された形跡はみられなかったが、フォルビッグさんは2003年、殺人3件と過失致死1件で有罪を言い渡された。
陪審は、同じ家族の中で子ども4人が2歳前に自然死する可能性は「豚が空を飛ぶほど」限りなく小さいとした検察の見解に基づいて評決を下した。本人の日記に、罪の告白と解釈できる記述があったことも根拠となった。
その後の調査でも、有罪に合理的な疑いの余地はないとの結果が出ていたが、昨年始まった新たな調査で、子どもたちの死因を説明する科学的証拠が浮上。調査に協力した弁護団の責任者は合理的な疑いがあると結論付け、州検察もこの結論を受け入れる構えだと述べていた。