「愛国者限定」の香港区議選、中国返還以来最低の投票率
香港(CNN) 10日に投票が行われた香港の区議会議員選挙は、中国政府により「愛国者のみ」が立候補する制度変更が行われたことを受け、改めて有権者からそっぽを向かれる結果となった。民主派の政治家が立候補を禁じられる中、投票率は香港の中国返還以来最低の水準に落ち込んだ。
4年に1度の区議会選に投票した香港の住民は120万人を下回った。有権者全体の割合では27.5%。香港政府は全力を挙げて投票を呼び掛けたが、1997年の中国への返還以降で最低の投票率に終わった。
反政府の抗議デモが数カ月続いた2019年の選挙は歴史的な71%の投票率を記録し、民主派が地滑り的勝利を収めていた。
しかし4年後の今回、民主派は事実上立候補を禁止された。選挙制度の大幅な改革を受け、中国政府に忠実な「愛国者」にしか被選挙権が認められなくなったためだ。
改革の下、直接投票で決まる議席数はそれまでの470から8割減って88になった。
また全ての候補者には、香港政府が任命する委員会からの指名といった条件を満たすことが義務付けられている。
香港の李家超(ジョン・リー)行政長官は10日午前に自身の投票を行った後、今回の選挙を「愛国者による香港統治という原則を実践するパズルの最後のピース」と評した。
香港大学のジョン・バーンズ名誉教授は、多くの有権者が政治的多様性を欠く候補者の顔ぶれに落胆したと指摘。有権者は事実上、政府が選んだ候補者を支持するよう求められていたと述べた。
「多くの市民は、この選挙を不公平で正当性がないものとみなすだろう。当局が野党とその指導者らを追放し、脅迫し、被選挙権を奪い、活動停止に追い込み、投獄してしまったからだ。多くの市民が刷新された選挙への参加を、役に立たないもしくは時間の無駄と考えるだろう」(バーンズ氏)