「外科医でさえ衝撃」 子どもの犠牲に向き合う医師、ガザ病院をCNNが独自取材
血まみれのメモ
「ちょうど今連絡があった。爆撃で手足が切断された若い男性2人が運ばれてくる」。アルナクビ医師はそう言うと、負傷者が運ばれてくる「レッドエリア」へ急いだ。
同病院の医師は経験豊富な救急医やICUコンサルタントが大半で、負傷者への対応には慣れている。しかし自国の患者は救急車で到着し、清潔なカルテが整っていた。
一方、男性と13歳の少年を野戦病院に搬送した救急隊から手渡されたのは、血まみれのメモ書きだった。患者は2人とも手や足を失う重傷を負っていた。
医師たちはすぐに応急措置の包帯を交換し始めた。「きちんと止血されて運ばれてくる患者は1人もいない」とアルナクビ医師は言い、命を救うためには適切な止血措置が欠かせないと付け加えた。
世界は耳を傾けてくれない
全長わずか40キロ、幅わずか11キロほどしかない飛び地のガザで、イスラエル軍は10月7日以来、2万2000を超す標的を攻撃した。これは激しさにおいても、残忍さにおいても、現代のどの戦争をもはるかにしのぐ。
世界保健機関(WHO)によると、ガザの200万人あまりの住民はほぼ全員が避難を強いられた。イスラエル軍はハマスを壊滅させて100人以上の人質を取り戻すため、まずガザ北部を、続いて南部を攻撃している。
瓦礫が散乱し、水に漬かったガザの街路を歩き回る人々/Scott McWhinnie/CNN
UAEの病院に入院している20歳の女性ラマ・アリ・ハッサン・アローシュさんは、この戦争前、大学で工学を学び、姉の結婚式の準備をしていた。一家はイスラエル軍の命令に従ってガザ北部の自宅を離れ、南部に退避した。だが一家が身を寄せていた家も攻撃され、ラマさんは片足を失って、今は病院にいる。
「世界は私たちの声に耳を傾けない」「誰も私たちのことは気にかけない。私たちは60日以上も死んでいる。爆撃のために死んでいる。なのに誰も何もしてくれなかった」