「外科医でさえ衝撃」 子どもの犠牲に向き合う医師、ガザ病院をCNNが独自取材
パレスチナ自治区ガザ南部ラファ(CNN) 1歳8カ月のアミール・タハちゃんは、黙ってベッドに横たわっていた。フワフワの髪は逆立ち、柔らかい肌には生々しい大きな傷跡。片目は紫色に腫れ上がっている。
おばによると、両親と2人のきょうだいはイスラエルの攻撃で殺害され、アミールちゃんは孤児になった。
しかしそのことを理解するにはまだ幼なすぎる。「アミールは母親の腕に抱かれて路上に倒れているところを発見された」「姉が死に、兄が死に、おじともう1人の姉はけがをして病院にいる。この子は母も父も姉も兄もなくした。私たち2人と、神だけになった」。おばのネハイア・アルカドラさんはCNNにそう語った。
アミールちゃんは父親に会いたがっている。「昨日は父親に似た看護師を見て『パパ! パパ! パパ!』と叫び続けた」。アルカドラさんは父親の動画を見せてアミールちゃんをなぐさめている。
現代の戦争の恐ろしさ
アミールちゃんは、アラブ首長国連邦(UAE)が開設したガザ南部ラファの野戦病院で手当てを受け、回復に向かっている。
現地の病院は病人やけが人であふれ返り、施設は損壊し、破壊されている。そうした中、UAEの病院は設備や人員が整った数少ない存在として、重傷者の治療を担う。
アミールちゃんの容体を気に掛けるアブダラ・アルナクビ医師/Scott McWhinnie/CNN
CNNはこのほど、西側のメディアとして初めてガザ南部に入り、そうした現場を中立的な立場から取材した。
取材班は現代の戦争の恐ろしさを目の当たりにした。道路には破壊されたビルの残骸やがれきが散乱している。激しい爆撃にもかからわらず、人々はまるでゾンビのように外をさまよう。多分、自分たちの命を推しはかるために。多分、ほかにすることがないために。
店はほとんどが閉まっているが、パン店の前には長蛇の列ができている。雨が降って水はよどみ、12月の寒さがこたえる。