イスラエル軍、半裸の医師らを屋外に数時間放置 ガザ南部の病院
(CNN) イスラエル軍に占拠されたパレスチナ自治区ガザ地区南部のナセル病院で、医師らが屋外へ呼び出されて衣服を脱がされ、厳しい寒さの中で数時間、下着のまま放置されたことが分かった。現地の目撃者が19日、CNNとの電話インタビューで匿名を条件に語った。
目撃者の話によると、イスラエル軍は先週、ナセル病院を占拠した際に、館内放送で医師らを外へ呼び出した。
医師らは衣服を脱ぐよう命じられた。寒さを理由に抵抗したが、聞き入れられずに従った。
そのまま数時間待たされた末、5人の医師だけが院内へ戻って患者の治療を続けるよう指示された。ほかの医師がどうなったかは分からないという。
この目撃者によれば、病院の古い病棟には現在、180人前後の患者がいる。電気が止まり、封鎖状態のなかで毎日患者が亡くなっている。ここ数日で死亡した4人の遺体を運び出すことも許されず、院内には腐敗臭が充満している。
病院側は17日に訪れた世界保健機関(WHO)のチームに、「食料と水が届かなければ私たちは死んでしまう」と訴えた。WHOチームは18日、酸素吸入が必要な患者14人を避難先へ運んだ。
ガザ保健省は17日、ナセル病院で医療スタッフ約70人がイスラエル軍に拘束され、患者80人がどこかへ移送されたと発表した。
CNNはイスラエル軍に、医師らへの脱衣命令について問い合わせたが、返答は得られていない。同様の状況は、イスラエル軍がこれまでに突入したほかの病院でも報告されていた。
イスラエル軍は拘束したパレスチナ人の衣服を脱がせる理由について、即席爆弾を隠し持っている恐れがあるためと説明してきた。
イスラエル軍はナセル病院への突入作戦により、潜伏していたイスラム組織ハマスの構成員「数百人」を拘束したと発表。中には医療スタッフを装っていたケースもあると主張した。
また、人質になったイスラエル人の名前が書いてある処方薬の箱も、本人に送られず未開封のまま見つかったとして、兵士が箱を見せる場面のビデオを公開した。
軍が拘束したハマス構成員の中には、昨年10月7日にイスラエルが受けた奇襲攻撃に参加したメンバーや人質担当の関係者、重要な工作員らも含まれていたという。軍は拘束者の所在を明かさず、取り調べを進めるために別の場所へ移動させたと説明している。