環境保護訴えた若者に禁錮刑、活動家の脅迫や訴追 カンボジアで強まる圧力
2012年に創設されたマザー・ネイチャー・カンボジアは環境破壊に対する反対運動を展開し、国家の鉱物資源管理に腐敗があったと訴えてきた。
23年にはもう一つのノーベル賞とも呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞している。
しかし活動家のうち数人は、カンボジアの裁判所が渡航を認めなかったため、スウェーデンで開かれた授賞式に出席できなかった。
SNSを積極的に利用して若者の共感を集める同団体は、フェイスブックで45万人以上がフォローする。ここ数年はティックトックの動画を通じ、希少資源の違法な輸出やホテルやカジノなどの違法建築を訴えてきた。手つかずの熱帯雨林が残る南西部のアレン渓谷では、中国資本の水力発電ダムに対する反対運動を展開して建設を阻止している。
首都プノンペンの高校生は「前向きで明るくて、環境についてたくさんのことを教えてくれる」と同団体を評価する。
しかし同団体のメンバーが脅迫や嫌がらせを受けたり、訴追されたりするケースも増えている。
判決言い渡しの2日には、同団体のメンバーらが裁判所前で葬列に見立てたデモ行進を行い、「司法は死んだ」と書かれたプラカードを掲げた。
「司法は死んだ」と書かれたプラカードを掲げ裁判所前でデモ行進を行うメンバーら/Chantha Lach/Reuters
しかし判決が言い渡されると一転、現場は混乱状態に陥り、活動家5人は大勢の武装警官に取り囲まれて車に押し込まれ、国内各地の刑務所に連行された。
残る5人にも逮捕状が出された。うち1人は陰謀罪や国王を侮辱した罪で禁錮8年を言い渡されている。