反捕鯨活動のワトソン容疑者、グリーンランドで逮捕 日本に引き渡しの可能性
(CNN) ベテラン環境保護活動家のポール・ワトソン容疑者(73)が21日にグリーンランドで逮捕された。南極圏での反捕鯨活動に関連する容疑で日本に引き渡される可能性がある。グリーンランド警察などが明らかにした。
グリーンランド警察や同容疑者のキャプテン・ポール・ワトソン財団(CPWF)によると、カナダと米国の二重国籍を持つワトソン容疑者は、燃料補給のためグリーンランドの中心都市ヌークに寄港した際に警察に逮捕された。
CPWFによれば、同船は日本の新造捕鯨船「関鯨丸」を妨害するため、アイルランドの首都ダブリンから北太平洋へ向かう途中だったが、ヌークで同船に特殊部隊が乗り込んで警察がワトソン容疑者に手錠をかけ、日本の要請による「赤手配」に基づき逮捕した。
グリーンランド警察も、ワトソン容疑者がヌークに到着したところで、日本の逮捕状に基づき逮捕したと発表した。勾留請求手続きのため同容疑者を裁判所に連行し、日本への移送について判断する。
CPWFは「この展開は予想外だった。財団の弁護士は、赤手配は撤回されたと伝えていた。だが日本はポール(ワトソン容疑者)を移動させて逮捕する目的で、逮捕状を極秘にしていたらしい」と推測。「ワトソン船長に対する赤通知の復活は、新しい工船の就航と一致させた政治的動機に基づいている」と反発した。
海上保安庁はCNNの取材に対し、グリーンランド警察がワトソン容疑者の逮捕を発表したことは認識していると述べ、引き続き関連機関と連携調整しながら対応するとした。
国際刑事警察機構(ICPO)は海保がワトソン容疑者の逮捕状を取った2年後の2012年9月に赤手配を出していた。
ワトソン容疑者は初期のグリーンピースのメンバーで、日本の捕鯨船に対する妨害行為で知られる「シー・シェパード・コンサベーション・ソサエティー」を創設。同団体の捕鯨妨害はアニマルプラネットのテレビ番組「ホエール・ウォーズ」で有名になった。
ワトソン容疑者は12年にもドイツでコスタリカの国際手配に基づき逮捕されていた。この時はグアテマラの沿岸で02年に漁船を危険にさらした罪に問われたが、ワトソン容疑者は保釈されたまま出廷せず、不正行為はしていないと主張していた。
13年には日本鯨類研究所と共同船舶の請求を受けて米連邦地裁がワトソン容疑者とシー・シェパードに対する禁止命令を言い渡し、公海上で原告の500ヤード(約457メートル)以内に接近することを禁止した。
共同船舶が今年6月に就航させた関鯨丸は、100キロの飛行が可能と伝えられる最新鋭ドローン(無人機)を装備しており、クジラを素早く発見して殺すことができる。