ミャンマー軍政トップが暫定大統領に、現職は病気療養
(CNN) ミャンマー国営メディアは、ミンスエ暫定大統領(73)が病気療養のため職務を離れ、軍事政権トップのミンアウンフライン総司令官が22日に暫定大統領に就任したと伝えた。
政府系メディアのMRTVは22日、「暫定大統領府は国家統治評議会に宛てた書簡で権限の委譲を通達した」と伝えた。
スエ氏については19日に国営メディアが、「精神運動障害」や「栄養不良」を2023年初めごろから患っていると報道。食事の摂取などの日常行動もできないことから、国家統治評議会の手配の下で治療が行われていると伝えていた。
軍事政権は2021年2月の軍事クーデター後にスエ氏を暫定大統領に据え、2年以内に選挙を実施すると表明したが、選挙実施の期限を繰り返し延長している。現在の非常事態と軍事政権による支配は今月で期限が切れる。
クーデター以来、ミャンマー国内では軍と武装勢力や民主派勢力との戦闘が続いて内戦状態に陥り、軍は支配地域も兵力も失いつつある。
国連のミャンマー人権状況特別報告者トム・アンドリュース氏は6月にCNNの取材に対し、軍政が民間人殺傷の空爆をこの半年で5倍に増やし、民間人を脅して軍に対する抵抗をやめさせる目的で人道危機を悪化させていると指摘した。
国連人道問題調整事務所によると、ミャンマーでは現在、少なくとも1860万人が緊急の人道支援を必要としている。
同事務所の2024年の報告書では、「ミャンマー全土で衝突がエスカレートして人道支援の必要性が増大し、避難民が急増し、食料不安や重大な人権侵害、民間人の命の危険が増大している」と指摘。ミャンマー支援は深刻な資金不足に陥っており、緊急に資金を確保できなければ支援を削減せざるを得ず、そうなれば何百万人もの命が危険にさらされると訴えた。