妊娠9カ月で中絶したとされる女性、殺人容疑で捜査 中絶禁止法のない韓国で
強固なジェンダー規範
中絶を望む女性への支援はほとんど行っていないものの、韓国政府は7月、出産を奨励するべく経済的、身体的、精神的困難を抱える妊婦や出産したばかりの母親へのカウンセリングサービスを開始した。
権利擁護者らは、韓国社会の女性に対する態度から、より自由な中絶法がすぐに可決されることに懐疑的だ。
韓国の男女の賃金格差は経済協力開発機構(OECD)の中で最悪であり、労働力における女性の役割と影響力を測る英誌エコノミストのガラスの天井指数も10年以上にわたり最低を記録している。
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は2年前、女性家族省を廃止するとの公約を掲げて当選した人物で、反フェミニストの若い男性らから支持を得ようとしている。
HRWのバーグステン氏は「(女性は)依然として家庭や子どもの主な世話係と見なされている」と指摘する。「これはジェンダーに対する非常に古い既成概念で、韓国では依然として根強く残っている」
先のユーチューバーが自身の体験を投稿した動機は不明。
警察は20代のこの女性と手術に関わったとされる病院を追跡するために動画を分析した。
警察はCNNの提携局YTNに対し、中絶手術を行ったとされる医師は別の病院から呼ばれた産科医だったと説明。名前を明かさないこの病院は当初、病院に所属する医師の1人だとうそをついていたという。
警察によると、女性の病院の記録には死産だったと記されていたが、女性は中絶手術を受けたことも認めていた。
法学教授によると、胎児が生きて生まれてきたことを証明する十分な証拠があれば、女性は殺人罪で起訴される可能性があるが、警察がこの件を起訴するには、中絶以外の犯罪の証拠を見つける必要があるとの見方を示した。「中絶という犯罪はもはや存在しないので、医師も女性も中絶で起訴するのは難しいと思う」