南ア大統領、「土地の接収」していない トランプ米大統領に反論
(CNN) 南アフリカのラマポーザ大統領は3日、トランプ米大統領が南アフリカでは白人の農業従事者が不当に扱われているとして財政支援をすべて取りやめると警告したことをめぐり、南ア当局は土地の接収を行っていないとして、トランプ氏の主張を否定した。
ラマポーザ氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「南アフリカは法の支配、正義、平等に深く根差した立憲民主主義の国だ。南アフリカ政府は土地の接収は一切行っていない」と述べた。
ラマポーザ氏は、土地の改革をめぐる政策や両国間の関心事について、トランプ政権と関与することを楽しみにしていると言い添えた。米国は南アフリカにとって政治や貿易に関して戦略的なパートナー国だが、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)やエイズに関連した救済プログラム以外に南アフリカに多額の資金提供は行っていない。
トランプ氏は2日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、南アフリカは土地の接収を行い、一部の人々に対する扱いが非常に悪いと主張して、完全な調査が行われるまで、南アフリカに対する全ての資金提供を停止すると明らかにした。
トランプ氏のこうした主張は2018年までさかのぼるもので、南アフリカの複雑な土地改革に起因する。
南アフリカでは過去の人種差別的な政策により、黒人や非白人の南アフリカ人は、白人の土地の利用のため、強制的に排除されていた。南アフリカがアパルトヘイト(人種隔離)政策の時代から脱却して、1994年に初めて民主的な選挙を実施して以降、憲法には土地の再配分や賠償に関する規定が盛り込まれた。
だが、人口の約80%を占めながら土地の所有がわずかにとどまる黒人の間で失業と貧困は依然として深刻な問題だ。
ラマポーザ氏は今年1月、新法に署名した。新法の指針では一部のケースでは、政府は補償なしに土地を収用できるとされている。