フランス最大規模の児童性的虐待、裁判が始まる 被害者299人
恐怖の日記
検察によると、今回の事件の中心となる証拠は被告自身の日記で、児童虐待の実際の出来事が描写されているという。一方で被告の弁護士は、日記には被告が実行したのではない空想が詳細に記されていると述べている。
20年の裁判中に発見された日記には、レイプの時間と場所、被害者の身元、さらには住所までが記載されており、捜査官が数多くの被害者を特定するのに役立った。
検察側が提出した法廷文書によると、被告は1990年に日記をつけ始め、退職する1年前の2016年まで定期的に書き、その分量は年間40~100ページあまりにおよんだことを認めている。
日記には、患者を驚かせないよう医学的な理由を装い、医療検査中に虐待を行うことが典型的な手口であったことが記されている。
裁判文書に含まれていた日記の複数の記述で、被告は小児性愛者であったことを認めている。
隠された犯罪、本当のトラウマ
虐待が行われていた間、多くの子どもたちは鎮静剤を投与されていたが、生活への影響はきわめて明白だった。裁判文書には、被害者の心理分析結果が記載されており、被告の元での入院後、特に性関係や自己肯定感において、持続的な問題が示されることが多いとされている。
虐待が行われていた期間を考えると、被害者の証言の一部はもはや法廷で認められない。レイプ罪での起訴の場合、フランスでの時効は被害者が成人してから30年であるため、約80人は今回の裁判の対象外となっているという。
司法手続きが進むにつれ、この裁判をめぐって一つの疑問が巻き起こっている。被告はなぜこれほど長い間、これほど多くの若者を食い物にすることができたのか。
CNNは、犯罪が行われたとされる病院とフランスの保健当局にコメントを求めている。