イスラエル国会前で大規模デモ 首相へ憤り噴出、戦闘再開で深まる分断
イスラエル軍、ガザに退避促すビラを投下 エルサレムではデモ
エルサレム(CNN) イスラエルのエルサレムにある国会議事堂前で19日、大規模な抗議デモが行われ、市民がベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する怒りの声をぶつけた。ネタニヤフ首相はこの前日、パレスチナの武装組織ハマスとの停戦合意を破ってガザ地区で戦闘を再開した。
テルアビブとエルサレムを結ぶ大通りに集まったデモ隊は、「連立の未来か、それともイスラエルの未来か」という横断幕を掲げていた。
この横断幕は、デモに参加した数千人の憤りを伝えていた。1年半近く続く戦争と不安定な停戦の中で、ネタニヤフ首相はイスラエルの安全保障や人質となったイスラエル人、ガザ地区のパレスチナ人の命よりも、自分の政治生命の方を優先させている――。
汚職をめぐる裁判の渦中にあるネタニヤフ首相にとって今回の停戦破りは、予算案の採決を前に不安定な連立政権を立て直す助けになった。1月の停戦合意に抗議して連立を離脱した極右政党「ユダヤの力」のイタマル・ベングビール氏は18日、イスラエルがガザ空爆を再開した直後に連立復帰を表明した。
しかしイスラエル国民の多くは戦闘の再開で絶望感に駆られ、政府に対する憤りを募らせている。パレスチナ人にとっては、2カ月しか続かなかった束の間の安堵(あんど)の終わりだった。
旗を振ったりスローガンを連呼したりするデモ隊=19日/Ronen Zvulun/Reuters
イスラエルのシンクタンクが3月に発表した世論調査では、70%超が停戦を支持していた。
国会前で抗議デモに参加したエルサレムのアーティスト、ユバァル・ヤイリ氏は、戦闘の再開は政治的な理由だったとの見方を示し、「内戦の可能性を強く懸念している。この国は分裂している。出口がないように見えることもある。人々は民主主義を信じなくなった。絶望的だ」とCNNに語った。