世界の高級ブランド企業、頼みの中国の節約志向で販売減目立つ
(CNN) 「ルイ・ヴィトン」や「ディオール」などの高級ブランドを傘下に置くフランスの「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)」は28日までに、今年上半期(1~6月)の販売実績を発表し、日本を除くアジアでは前年比で10%減少したと報告した。
アジアでは日本を除いた場合、中国市場が圧倒的な存在感を示しているが、同国の消費者が財布のひもを締めているのが大きな要因となっている。今年第2四半期(4~6月)のデータでは売上高は14%減となっていた。
豪華ホテルの運営などの事業も展開しているLVMHの株価は24日には4.7%下落。昨年10月以降では1日としては最大の落ち込み幅となった。ファッション界の有名ブランドのプラダの株価も低迷した。
市場分析企業「CMCマーケッツ」の幹部はCNNの取材に、高級品ブランドへの投資は広範な経済的な浮沈の影響から逃れる術(すべ)として安全との以前の考え方が揺らいでいるとも指摘した。
ロイター通信は25日、欧州の上位10位にある高級品企業は今年の3月以降、市場で約2500億米ドルを失ったとも報道した。高級宝飾の「カルティエ」やドイツの自動車メーカー「ポルシェ」も中国で販売減に直面している。
カルティエの販売高は中国大陸、香港やマカオで今年6月末までの3カ月間では前年同期比で27%の大幅減少を記録。カルティエを保有する企業グループ「リシュモン」は「中国の消費者の先行きに対する信頼感の低さ」が背景要因とした。
ポルシェも高級品に対する需要は低いと判断している。「メルセデス・ベンツ」や「グッチ」などの企業も中国市場に関して販売減や収益減を報告した。
この中で奮闘が目立つのがフランスの高級ブランド「エルメス」だ。「バーキン」バッグなどの販売で知られ、その値段は1万ドルから数十万ドルまで。今年の上半期では日本を除いたアジア市場でバッグやシルク製スカーフの売り上げ増が報告された。
これら高級品ブランドの販売額の低調は、新型コロナウイルス禍の行動制限の解除後に高品質の商品の購入に一気に走り、ブランド企業の業績向上を生み出した中国の消費者がここにきて、支出の節約へ劇的に転じたことを反映している。
中国政府は先週、今年の第2四半期の経済成長率は前年同期比で4.7%と報告。専門家らの事前の予想を裏切り、昨年の第1四半期以降では最少の伸び率だった。
中国の富裕層の懐に狙いを定め、需要を取り込んできた高級ブランド企業のこれまでの戦略が、同国経済のつまずきでついにほころび始める様相となっている。