中国の隕石ハンター 冒険者は一攫千金を夢見る
1つは溶融被膜、もう1つはレグマグリプトだ。レグマグリプトは、隕石が大気圏を通過する際の摩擦で隕石の表面にできる穴や細い流線だ。
一方、溶融被膜は、隕石を包み込む黒いガラス状の膜だ。隕石が大気圏を通過する際、隕石の周りの空気が圧縮される。圧縮された空気は高温になり、隕石の外面層を溶かす。そして落下速度が溶融が起こらない水準まで減速すると、外面層が冷やされ、溶融被膜が形成される。
シュー氏によると、隕石の構成要素の中で最も価値が高いのはダスト粒子だという。ダスト粒子の化学元素内のさまざまな同位体には、星がたどった発展の過程に関する情報が含まれている。
高額商品
チャン氏は、顧客の個人情報は一切明かさないが、彼らは希少価値の高い隕石なら10万~100万ドル(約1000万~1億1000万円)で買い取るという。また隕石はオークションでも高値が付く。
2019年2月に、英競売大手クリスティーズで隕石のオークション「ディープインパクト」が開催され、総落札額は80万ドル(約8600万円)を超えた。
高値が付いたのは、カンポ・デル・シエロ(スペイン語で「空の谷」を意味する)と呼ばれる隕石だ。およそ4000年前に2つの小惑星が衝突し、その破片が地球に落下したと考えられている。評価額は6万ドル(約650万円)だったが、落札額は27万5000ドル(約3000万円)に高騰した。
オークション史上最も高い値が付いた隕石は、2018年にボストンのRRオークションで落札された月隕石で、落札額は61万2500ドル(約6600万円)だった。この隕石は、その起源が月にあることから「月のパズル」と呼ばれ、6つの破片が組み合わさってできている。この隕石は、2017年にアフリカ北西部に位置するモーリタニアで発見された。数千年前、月に別の隕石が衝突し、その衝撃で月の表面が吹き飛ばされ、その破片が地球に落下したと考えらえている。
チャン氏は、隕石探しの目的は金ではなく、科学や教育に貢献するためだと語る。チャン氏は、米アリゾナ州のバリンジャー・クレーターから、オーストラリアのヘンベリー・ミティアアイツ・コンサベーション保護区まで足を運ぶ。
チャンさんは言う。隕石がある所ならどこへでも行く、隕石に呼ばれれば、どこにでも行くと。