中国の隕石ハンター 冒険者は一攫千金を夢見る
(CNN) チャン・ボー氏(37)にとって金属探知機と地図、オフロード車は欠かせない商売道具だ。
チャン氏は上海を拠点に自己資金で活動する隕石(いんせき)ハンターで、普段は隕石の目撃情報を調査したり、発見が困難(で高価)な岩の破片を求めて世界を旅したりしている。正式な訓練を受けたわけではないが、すでに隕石ハンターとして大成功を収めている。
2009年に中国南部で空を横切る火球を目撃したのをきっかけに隕石の研究を始め、12年に地中に埋まっている隕石を探すための金属探知機を携え、ロシア、フランス、サハラ砂漠、さらに中国最西部の新疆にある、世界で最も居住が困難な地域の一部への調査旅行を開始した。
それ以来、チャン氏は、隕石が落下した場所を地図上に記録していった。チャン氏によると、全長425キロの世界最大級の隕石衝突跡が中国最西部新疆のアルタイ地区にあると中国当局が断定できたのは、チャン氏の記録のおかげだという。
チャン氏は、アルタイ地区に20回ほど足を運んだ末にようやく重要な発見に至ったという。「10回中9回は何も発見できずに終わる」とチャン氏は言う。
中国の隕石ハンターたち
中国の大平原や山岳地帯は、中国の隕石愛好家たちにとって人気の「猟場」であり、世界最大級の鉄隕石の一部もそれらの場所で発見された。
隕石探しの魅力のひとつは、冒険心をかき立てられる点だ。辺鄙(へんぴ)な場所に行くには、しっかりとした装備と綿密な計画が必要だ。また、太陽系に関する科学的な理解をさらに深める何かを発見できるかもしれないという興奮もある。
=2016年、新疆ウイグル自治区/Zhang Bo/Supplied
とはいえ、多くのハンターたちにとって、隕石探しの最大の動機は「金もうけ」だ。
2018年にミャンマーとラオスの国境近くの空を横切る火球が目撃された時には、一攫千金を狙う隕石ハンターたちが金属探知機を携え、その地域に駆けつけた。
ミャンマーとラオスに隣接する中国シーサンパンナ・タイ族自治州モウ海県の小さな村に200個ほどの隕石が雨あられのごとく降り注いだことが確認されたのを受け、多くの隕石ハンターたちがその村に押し寄せたため、地元当局が冷静な行動を促す声明を出す事態となった。
火球が目撃されてから数日後、隕石とされる石がネット上で1グラム5万元(約76万円)もの高値で売られていた。
しかし、中国南京市にある紫金山天文台の隕石の専門家シュー・ウェイビアオ氏によると、それよりもさらに高い値段(1グラム当たり100万円以上)で売れることもあるという。