木の実を割るチンパンジーの行動、「独特の文化」として国連条約で保全
(CNN) 西アフリカに生息するチンパンジーが木の実を割る行動が、独特の文化として国連の「移動性野生動物種の保全に関する条約(CMS)」の保全対象に選ばれた。動物の行動が同条約の保全対象となるのは初めて。
この行動が保全対象に選ばれたのは、チンパンジーの「独特な技術文化」と認定されたことによる。
チンパンジーは石や木片をハンマー代わりに使って木の実を割ることができる。ただしこの行動が観察できるのは、西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリア、コートジボワールに生息するチンパンジーのみ。アフリカのそれ以外の地域では観察されない。
「こうした行動は、気候変動によって植生に変化が見られる地域において、チンパンジーが生き延びる可能性を高めることができる」。CMSは2月にこの行動を保全対象とする計画を発表した時点でそう指摘していた。提案は、先月インドで開かれた年次会合で承認された。
こうした文化については、クジラやイルカ、ゾウなどと同じように、チンパンジーも仲間同士の社会的学習を通じて能力や行動を習得できることが実証されている。
CMSは、野生のチンパンジーの社会的交流について何十年も研究してきたジェーン・グダール氏の研究などを引用。チンパンジーの木の実割りについてさらなるデータを収集すると述べ、この独特の才能に注目するよう呼びかけた。
今回の会合では、チンパンジーの行動のほかに、東部熱帯地域の太平洋に生息するマッコウクジラがさまざまな声で鳴く文化についても保全対処として提案された。