太古の火星に生命?、有毒な火山湖に住む微生物が手がかりに
極限環境で生息する
13年、研究チームは湖に好酸性細菌のアシディフィラム属が生息していることを確認した。この細菌はラグナ・カリエンテのような熱水系だけでなく、酸性の鉱山廃水でも見つかることが多く、多様な環境での生存を可能にする遺伝子を多数持つ。
17年に再び調査に戻る前、現地ではさらなる噴火が発生した。研究チームは追加の試料を収集し、湖に住む細菌に予想よりやや高い多様性が見られることを発見。さらにDNA解析を行った結果、アシディフィラム属は硫黄や鉄、ヒ素のような元素を変換して生存に必要なエネルギーを生成する方法を編み出したことが明らかになった。
ワン氏は「13年から17年にかけ、有毒金属や強酸、熱を流入させる水蒸気噴火が何度も起きたが、それでもいくつかの同じ微生物が同じ環境にいた」と指摘する。
研究チームが17年3月に試料を採取してから約1カ月後、ポアス火山で今度はマグマ噴火が発生した。論文共著者でコスタリカ火山地震観測所の火山学者ジェフロイ・アバード氏によると、爆発の力で1.6キロあまり離れた場所に岩石が飛び散り、溶岩が噴出。火口湖から水が流出したほか、火口の約3600メートル上空に何度も噴煙が立ち上った。
「どのようにして生命がこの環境に戻ってくるのかを明らかにしたい」とアバード氏。「我々の研究から得られた主な仮説は、ポアス火山の生物はこうした極限環境の中でも周縁部で生存できるというものだ。これを踏まえ、火口湖だけでなく湖岸線や関連する地下水系など、付近に生命がいるかもしれないあらゆる場所でサンプルを採取できればと思う」