サウジの女性追跡アプリ排除を、アップルとグーグルに要請
(CNN Business) 米アップルとグーグルに対し、サウジ政府の携帯アプリ「アブシャー」をプラットフォームから排除するよう求める声が出ている。同アプリが後見人男性による女性の追跡を許しているという理由だ。
米上院財政委員会の民主党トップ、ロン・ワイデン議員は11日、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)とグーグルのサンダー・ピチャイCEOに書簡を送付。自社の技術インフラやアプリストアが「女性の監視と管理」に利用されるのを防ぐよう要請した。
アブシャーはサウジ政府が運用するポータルアプリで、iOS端末では2015年、アンドロイド端末では16年から入手可能になった。利用者は大巡礼「ハッジ」やビザ、国民ID、交通違反、健康保険などに関連した政府のサービスにアクセスできる。
その中に後見人男性用の機能もあり、女性による海外渡航の可否の判断や、渡航計画にまつわる制限の設定に使われている。
サウジの法律は女性に対し、男性後見人の許可なしに渡航することを禁止。批判派の間ではアブシャーについて、抑圧的な制度を技術的に拡張するものだとの声が上がっている。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも両社に対し、「このアプリを通じた女性の人権侵害リスクを見極め、女性への危害を緩和する」よう求めた。
アップルのクックCEOは11日、米公共ラジオNPRでアブシャーが女性の移動の管理に使われている点を問われ、「聞いたことがなかったが、事実であれば調査する」と表明。グーグルはCNNに「調査中」と説明したものの、現時点ではこれ以上の情報を明かさなかった。