NYグランドセントラル駅、100年の歴史を振り返る
大統領専用列車は、ポリオに感染し足が不自由だったルーズベルト大統領のために、横揺れを防ぐ設計になっており、そのおかげで大統領は足の障害を国民に知られることなく列車で移動することができた。
そんな重要な物がなぜ博物館に展示されず、グランドセントラルの地下にそのまま放置されているのか。答えは簡単。重量が142トンもあり、重すぎて動かせないのだ。
1944年:危機一髪
ターミナルの地下にあるもう1つの秘密がM42と呼ばれる秘密の地下室だ。この地下室はマンハッタンで到達可能な最深地点で、グランドセントラルがあるマンハッタン区42丁目にちなんでM42と名付けられた。
到達可能といっても、決してそこに行くことはできない。駅舎のオーナーは1980年代後半まで、この地下室の存在を明確に否定していた。また、ターミナルの設計図にもこの地下室は載っていない。
では、この地下室の秘密とは何か。
実は、このM42地下室には回転交流器が設置されている。この交流器は1930年代にターミナルの63本の線路に電力を供給していた。
これらの線路は、第2次世界大戦中、船で前線に向かう兵士や兵器を港まで輸送するのに使われた。
しかし、グランドセントラルは戦略上、大変重要だったにもかかわらず、これらの交流器の1台にバケツ1杯の砂が入っただけで、ターミナル(と東に向かう米軍の移動の8割)が停止状態に陥る恐れがあった。
1944年11月にナチスの2人の工作員がこの弱点を突こうとしたが、米連邦捜査局(FBI)によって阻止された。