NYグランドセントラル駅、100年の歴史を振り返る
1957年:天井に開いた穴の秘密
駅のメーンコンコースの天井(の魚座の近く)に開いた小さな穴は、なんと米ソの宇宙開発競争の名残だ。この穴は、宇宙探査に対する国民の関心を盛り上げるべく、ターミナル内でレッドストーン・ロケットの先端を持ち上げて、立てようとした際にできたものだ。
当時の米政府は、ソ連製の世界初の人工衛星スプートニク1号打ち上げに対する米国民の懸念を払拭(ふっしょく)することに熱心になりすぎて、ロケットが駅舎に収まるのかを確認し忘れた。
1968年:取り壊しの危機
1960年代後半には、州間ハイウエーや飛行機旅行人気の高まりとともに鉄道は廃れ、グランドセントラルはホームレスがはびこり、悪臭が漂う目障りな存在と化した。
そのため駅舎の取り壊しが決定したが、ニューヨーク市の歴史的建造物保存委員会(LPC)が駅舎を歴史的建造物に認定したため、取り壊しを免れた。しかし、駅舎内で生活するホームレスをどうするのかという問題は残った。
そこで市当局は、ホームレスたちを一律に排除するのではなく、個々の事情を配慮しながら対処することにした。その結果、大半のホームレスは定住用の住居を手に入れた。
1990年:米国最大の「リサイクル工場」に
駅舎内に新聞紙専用のごみ箱が設置されたことにより、グランドセントラルは一夜にして米国最大の「リサイクル工場」となり、初日だけで5トンのごみを集めた。
しかし、誰もがこのプロジェクトに賛同したわけではなかった。