「幽霊船団」で自然が復活、1次大戦の歴史眠る 米マローズ湾
だが、マローズ湾に集まる艦船の大部分は20世紀初めに造られたものだ。「幽霊船団」は第1次世界大戦中、米国が欧州の同盟国を助けるために前例のないの造船プログラムに着手したことに端を発している。
ショメット氏によれば、米国が1917年4月に参戦したとき、英仏伊を出発した船は半数が撃沈されるという状況で、戦況はドイツ有利に傾きつつあった。
ドイツは潜水艦による無差別攻撃の戦術を取り、軍艦だけでなく商船や客船も標的にした。最も有名なのは、1915年5月に魚雷攻撃を受け沈没した英国の客船ルシタニア号で、乗客1200人が死亡し、その1割は米国人だった。
同盟国の間で急速に艦船が必要とされるなか、当時のウッドロー・ウィルソン米大統領はこれに応え、軍用や商用の船を建造するための特別会社を設立した。
それから1年以内に、米国では100万人が造船関連業に従事。米国は一時的に、世界最大の造船国となった。ショメット氏は「われわれはゼロから造船産業を作り出さなければならなくなり、木造の船1000隻を18ヶ月で建造するのが目標だった」と話す。当時は木造の蒸気船1隻を造るのに通常、1年半を要するところだったという。