「幽霊船団」で自然が復活、1次大戦の歴史眠る 米マローズ湾
米国政府が設立したペンシルベニア州のホッグ島の鉄鋼造船所では、造船台50本がデラウェア川沿い2キロにわたって広がり、最盛期には3万人の労働者が5~6日に1隻のペースで船を進水させていた。
木造貨物船の建造は全米に発注され、1918年11月の終戦までに400隻近くが完成した。このうち一部は買い手がつき、太平洋岸沿いに貨物を運ぶのに使われたというが、サイズがそれほど大きくなかったことから、大西洋横断旅行のような長い距離では採算が取れないとみなされた。
こうした船の大部分は1922年、海難救助会社に安値で売却された。再利用可能な金属や部品を回収したうえで、船の残りの部分は沈没処分となった。
この会社は1929年、大恐慌の到来とともに破産。この後、造船会社などが引き揚げを試みるも失敗に終わり、船は徐々に自然の手に委ねられていった。植物に覆われほとんど判別不可能になった場所もある。
ショメット氏は森が生い茂るような格好になった船について、「花瓶船」と形容。「船はみな島になった。高さ約10~12メートルになる木もある。本当に不思議な光景で美しい」と話す。