ハワイ島の超大型望遠鏡計画、先住民グループが工事を阻止
(CNN) 米ハワイ島のマウナケア山で、超大型望遠鏡「TMT」の建設計画に反対する先住民らが抗議デモを続け、先週始まる予定だった工事が延期されている。
抗議グループのリーダーが21日、CNNに語ったところによると、デモには2000人以上が集まり、仮設キャンプを拠点に山頂への道路を封鎖している。
マウナケア山はハワイ諸島で最も高い火山。天体観測に適した場所として知られるが、ハワイ先住民にとっては祖先が崇拝してきた一番の聖地だ。
同リーダーは、この山にはすでに13基の天文台が設けられたと指摘。そのたびに「これが最後」という言葉を聞かされてきたと話し、「もうたくさんだ」「我々にとって最後の抵抗だ」と力説した。
一方でTMT建設を計画している国際チームは、科学と文化の融合を目指し、地元の教育や経済に貢献するとの姿勢を強調している。
マウナケア山の山頂にある望遠鏡のひとつ=14日/Caleb Jones/AP
ハワイ州のイゲ知事は先週、事態収拾に向けた警察当局の権限を強化する緊急宣言を出した。警察は17日、道路封鎖に立った長老ら33人を拘束したが、直後に釈放した。
イゲ氏は記者会見で「全住民の安全が最優先」との立場を強調し、仮設キャンプの衛生状況などに懸念を表明。薬物やアルコール乱用の報告もあると述べた。
これに対してデモ主催者らは20日、CNN系列局とのインタビューで、キャンプでは適正なルールに従って医療や食事も十分に提供され、薬物やアルコールどころか喫煙さえ禁止されていると反論した。