アルツハイマー病の進行送らせる新薬「ドナネマブ」、米FDAが承認
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は2日、アルツハイマーの初期症状の進行を遅らせるモノクローナル抗体医薬品「ドナネマブ」を承認した。
ドナネマブは米製薬大手イーライリリーが開発した医薬品で、アルツハイマー病の特徴とされる脳内にたまったアミロイド斑の除去を助ける効果が期待される。
イーライリリーは同薬を「キスンラ」の名称で発売する予定で、保険適用前の価格はバイアルあたり695ドル(約11万円)。患者の治療期間によって、半年で1万2522ドル、1年でおよそ3万2000ドルになる。
ドナネマブは治療薬ではない。ただ、臨床試験ではアルツハイマー病の進行を遅らせる効果が示されており、患者が自立した生活を営みながら日常の活動に参加できる期間が長くなることが期待される。
イーライリリーはFDAの諮問委員会で6月に、後期の臨床研究で「非常に有意な結果」が出たと述べ、ドナネマブを服用した患者は偽薬を服用した患者に比べ、1年半の間に病気が進行するリスクが約35%低かったと報告した。FDA諮問委員会の採決では、この治療法について安全かつ効果的と判断した。
イーライリリーによると、ごくまれなケースとして、臨床試験では被検者の2%に深刻な副反応が認められた。ドナネマブを服用した人の死亡率は2%と、偽薬を服用した人の1.7%と比べてわずかに高かった。
3人はドナネマブ服用中にアミロイド関連画像異常(ARIA)を発症して死亡した。ほとんどは臨床試験開始から6週間の間にARIAを発症していたことから、イーライリリーは無症状のARIAを発見するため、2回目の服用前にMRI検査を導入。もし発見されれば重症化を防ぐために治療を中断したと説明している。