トランプ氏、メキシコ・カナダ・中国に関税 大統領令に署名
(CNN) トランプ米大統領は1日、メキシコとカナダ、中国からの輸入品に新たに関税を課す大統領令を出した。合成麻薬や不法移民の流入を抑えるためとされる。
トランプ氏はこの日、フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」で大統領令に署名した。同氏が数カ月前から繰り返し表明してきた方針通り、メキシコからのすべての輸入品とカナダからのほとんどの輸入品に25%の関税、中国には10%の追加関税を、それぞれ課す内容。解除の条件となる具体的な基準は示していない。
カナダのエネルギー産品には10%の関税が適用される。米国民の多くはガソリンや暖房をカナダ産の原油などに頼ってきたが、関税の発動で値上がりしそうだ。
国内の物価上昇に加えて、この関税がコスト高やサプライチェーン(供給網)の混乱、失業などにつながり、世界的な貿易戦争のきっかけとなる可能性も指摘されている。
トランプ氏は1月31日の記者会見で輸入業者や消費者への影響を問われ、「一時的、短期的な混乱はあるかもしれない」と認める一方、「関税によってわが国はとても豊かに、とても強くなる」と強調した。
新たな関税の導入は、トランプ氏が不動産開発業者だった時代から一貫して掲げてきた数少ない主張のひとつだ。選挙戦では、関税を「辞書の中で最も素晴らしい言葉」と評したこともある。
メキシコとカナダ、中国は、米国にとって最大の輸入先。3カ国合わせると輸入額全体の約4割を占める。中国が20年間首位に君臨していたが、第1次トランプ政権が発動した関税の影響を受け、2023年にメキシコにトップを譲った。メキシコとカナダからの輸入品は、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により、これまで関税が事実上免除されていた