米加州で「83億リットル」のダム放水、山火事受けトランプ氏の指示 ロスに流入せず
(CNN) 米陸軍工兵部隊が先月31日、カリフォルニア州中部にある二つのダムを放水し、約83億リットルの水を流出させたことがわかった。この動きは、大規模な山火事が発生した同州南部に水を送るというトランプ大統領の誤った意図に基づく命令を受けたものだ。
トランプ氏は31日と今月2日に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「カリフォルニア州に水が流れている」と宣言し、水は「州中の農家とロサンゼルスに向かっている」と放水をたたえた。
水資源の専門家によると、これには二つの大きな問題がある。一つは新たに放出された水はロサンゼルスには流入していないということ、もう一つは雨の多い冬季に放水され無駄になっているということだ。ダムの貯水は夏の乾期に備えたものだったため、今回の放水により農家は夏季に水不足に陥る可能性があるという。
地元の水道当局は3日に発表した声明で、31日から2日にかけて約83億リットルが放出されたと述べた。この水は同州のトゥラリー湖の干上がった湖底に放出され、下流の事業者が灌漑(かんがい)と地下水の補充のために利用したという。
カリフォルニア州水資源局の責任者は記者団に対し、連邦当局と州および地元の水資源管理当局の間でこの放出についての調整はほとんど行われなかったと語った。「これらの貯水池は連邦の貯水池であり、カリフォルニア州は今回の決定には関わっていない」
カリフォルニア州では北部からロサンゼルスを含む南部までの地域に州が水を供給している。ロサンゼルスは、州の貯水池とコロラド川から水の供給を受けている。
ロサンゼルスの水源は、今回放水が行われたダムの水系とは完全に分離している。これらの水系は、農業が盛んなセントラルバレーに流れ込んでいる。同地域は作物の灌漑を行うにあたり、地下水と州のダムに蓄えられた冬の降雨に大きく依存している。