NYタイムズ紙に中国から「ハッカー攻撃」 蓄財報道影響か
香港(CNN) 米紙ニューヨーク・タイムズは31日までに、同社のコンピューターネットワークが中国からハッカー攻撃を約4カ月間受け続け、著名記者や他のスタッフのパスワードが盗まれる被害を受けたと発表した。
被害は、同紙による中国の温家宝(ウェンチアパオ)首相の一族による蓄財についての調査取材の時期や報道と符号するとしている。一連の記事は中国当局の反発を招き、中国本土ではタイムズ紙のウェブサイトへの接続が阻止されていた。
同紙は30日付で中国によるサイバー攻撃に関する特集記事を載せ、コンピューターセキュリティーの専門家に一連の不正侵入についての監視、分析や撃退方法などを依頼したと説明。自社のネットワーク防御の将来的な防衛策を講じるための措置ともしていた。
同紙幹部は、温家宝首相一族の蓄財報道に関する取材上の機密情報やファイルが漏出した形跡はなかったと指摘。ただ、ハッカー攻撃が増していたことを踏まえ、タイムズ紙幹部は昨年11月、佳境に迫っていた米大統領選時での紙面印刷を一時、危惧(きぐ)したとも明かした。
タイムズ紙によると、ハッカーは全従業員のパスワードを盗んだ上で、ほとんどが編集部以外の従業員53人の私的なコンピューターへの侵入に成功していた。