ロシア上院、大統領への派兵権限の付与撤回 ウクライナ危機
モスクワ(CNN) ロシア上院は25日、プーチン大統領の要請に応じ、ウクライナへの派兵の権限を大統領に与えた今年3月1日付の決議を採決で取り消した。
プーチン氏は23日、上院議長に書簡を送り、決議の撤回を求めていた。25日の採決では撤回支持が153票、反対が1票だった。
ロシア大統領府の報道官は、大統領の要請はウクライナ政権軍と親ロシア派武装勢力とのにらみ合いが続くウクライナ東部情勢の事態打開へ向けた協議の開催を受けた措置と説明していた。ウクライナへの軍事介入をいったん放棄し、対話による解決策の模索を優先したものと受け止められている。
協議にはウクライナ政府、東部のルガンスク、ドネツク両州の親ロシア派勢力、ロシア政府や欧州安保協力機構(OSCE)の各代表が参加。ウクライナのウクルインフォルム通信によると、協議は25日、ドネツク市で開かれた。
米国のケリー国務長官は25日、ロシア上院による派兵決議の撤回は前向きな材料としながらも、撤回が容易に覆される可能性もあると指摘。プーチン氏が東部の親ロシア派勢力に武器放棄を求めれば、大きな意味合いがあると主張した。
ウクライナのポロシェンコ大統領は先週、東部情勢の緊張緩和のため親ロシア派勢力の掃討作戦の一時停止を命令。ただ、24日には親ロシア派が軍ヘリコプターを撃墜し、乗員1人が死亡する衝突があった。