NATO、「即応部隊」創設で合意 ウクライナ情勢で危機感
ラスムセン事務総長はイスラム教スンニ派の過激派「イスラム国(IS)」が台頭するイラク情勢について、NATO加盟国はイラク政府が求めるなら、過激派との戦いを手助ける準備があると強調。ただ、記者団に支援の詳細を質され、イラクの防衛能力の構築を考慮する用意があるとのみ答えた。
この関連でNATO加盟国のカナダ首相府は5日、IS掃討でイラク政府に助言する数十人規模の兵士を派遣すると発表した。米国は既にイラクに軍事顧問団を送り、IS駆逐の作戦に当たらせている。
同事務総長によると、首脳会議ではまた、加盟国が今後10年間で国防費増大に努力することでも合意した。国防費は国内総生産(GDP)の2%を目標とし、10年間で支出額の2割を装備品の調達などに充てることを想定している。
この合意はウクライナ情勢をにらんだもので、ロシアの軍事費は過去5年で50%増加。一方、NATO諸国は平均で20%目減りした。
オバマ米大統領はNATO首脳会議の閉幕後、「ロシアによるウクライナ侵攻は健全、自由で平和状態にあるべきとする欧州の未来図を脅かしている」と主張。その上でロシアが反発するウクライナのNATO加盟問題に触れ、「同盟への加入の機会は我々の高い基準を満たす諸国には常に開かれている」と続けた。